第2回 食べ物の話「牛乳の話」

2009年10月23日

会員の皆様に日頃ご愛飲いただいている木次乳業さんの牛乳パックには、「お母さん方へ」という書き出しで、「赤ちゃんにはできるだけ母乳をあげてください。」というメッセージが書かれています。当たり前の事であり何もわざわざ・・・、という気も致しますが、このことが意味するところを簡単にご紹介さ せていただきます。
  牛の赤ちゃんは、生まれておよそ15ケ月で500kg~600kgの体重をもつ成牛になります。人間の赤ちゃんの場合、大体20才で60kgという具合で すので、成長の速度、体重もおよそ人間と牛では約10倍の開きがあることが解ります。成長に必須の栄養を包括する母乳ですから、基本的に両者の母乳の栄養 価、成分には大きな違いがあることがまず推察できることと思います。
  牛乳には、早いスピードで子牛の骨格作りを促進させるためのカルシウムやリン、蛋白質が非常に多く含まれ、人間の母乳との比較では約3倍という数字になっています。それに比べ私たち人間の赤ちゃんの乳児期にもっとも大切なことは、赤ちゃんの脳や神経組織の発達形成であり、そのために最も必要とされる成分と いうのが、乳糖(ラクトース)や亜鉛成分で、牛乳との比較では乳糖が約1.5倍、亜鉛成分は約2倍という数字になっています。このことが牛乳と母乳の決定的な違いです。
それゆえ、乳児にはできるだけ母乳を与え、脳や神経組織の形成を促進してください、というのが木次乳業さんのメッセージの意味するところなのです。

  先日、地球人倶楽部の会員様担当(直接商品をお届けしている面々)に、牛乳についてのテストを行いました。結果は想像におまかせいたしますが、私から長い長い説教をうけたとだけ申し上げておきましょう。会員の皆様は既にご存じのこととは思いますが、紙面を借りて内容を紹介させていただきます。

問題1. パスチャライズ牛乳とは何か?簡単に述べよ。
解答. 19世紀のフランスの生物・科学者であったパスツールが発見した低温殺菌処理牛乳のこと。パスツールの名前をとってパスチャライズ(パスチャリゼーション)と 呼ばれているが、この考え方の基本は、「牛乳の栄養価や性質を損なうことなく病原微生物の危険性を最小限にした熱処理牛乳」。この低温熱処理牛乳には2つの方法があり、欧州に本部がある国際乳業連盟(IDF)で分類、定義されている。


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パスチャライズ牛乳
(低温処理牛乳)
低温長時間法 63℃ 30分 
高温短時間法 72℃ 15秒

このどちらの方法で処理しても、牛乳の栄養価、性質は同じ状態で維持されます。

地球人倶楽部の牛乳でいえば、

木次乳業 パスチャライズ 63℃ 30分
木次乳業 ノンホモ 72℃ 15秒
中洞牧場 エコロジー 72℃ 15秒

以上すべて低温殺菌処理牛乳です。

ここまで答えれば第1の問題は100点ですが、会員の皆様はいかがでしたでしょうか?

さて、第2の問題は、ノンホモ牛乳とは何か?

解答. 「ホモゲニゼイションを行わない牛乳」。
ホモゲニゼイションとは、しぼったままの牛乳中にある不均一なサイズの脂肪球を機械的な処理を行うことによって小さな脂肪球に破壊すること。その処理を行わないということで、「ノンホモゲニゼイション」(略してノンホモ)。よって牛乳中の脂肪球がしぼったままの自然な状態になっているもの。脂肪球が均一化 されていないものをいう。
ホモゲニゼイション(均一化)を行った牛乳中の脂肪球の数は、処理しない牛乳(ノンホモ)の脂肪球の約10000倍にもなります。なぜこのような均一化を行うのかというと、
・牛乳のクリーム層の形成がなくなる
・牛乳の色が白くなる
・牛乳の風味が均一になり飲みやすい
というメリットがあるからです。
[補足] 地球人倶楽部がお届けしている「エコロジー牛乳」は、ノンホモ牛乳ですので、脂肪球を均一化していない自然のままの牛乳ですが、会員の皆様からは時折、「非 常に乳脂肪の濃い牛乳」、「飲みにくい牛乳」という声もありますが、実際のところ、「エコロジー牛乳」の乳脂肪分は地球人倶楽部の中では最も低い牛乳であり、濃く感じられるのは脂肪球が均一化されていないためであることも付け加えておきたいと思います。

以上がノンホモ牛乳についての正解で100点です。

  最後に、一般に販売されている超高温殺菌処理牛乳について簡単にご説明させていただくと、「有益な微生物を含め、すべての微生物を殺した熱処理牛乳」ということで、必然的に牛乳の天然性は失われてしまいます。その他には、蛋白質の変性、ビタミンの破壊、その他成分の変性、有益微生物の死滅、というデメリットがあります。その中の蛋白質の変性ということがありますと、身体の中に入ったカルシウムが吸収されにくいという状態になることも証明されており、いくら牛乳を飲んでもカルシウム不足という問題が生じてくるのです。

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牛乳について長々と述べて参りましたが、勉強すればするほど奥深いものがあり、その不思議についてはまだまだ知る由もありません。今日は牛乳について、ほんの一端ではありますが社員教育の基礎知識としての牛乳を会員の皆様にもご紹介させていただきました。今後は、この食べ物シリーズを通して、会員の皆様が 食されているものがどのようなものなのか、それは一般のものとどこが違い、私たちの健康にどのように影響を与えているのかについてご一緒に考え、勉強して 参りたいと思っています。

 余談ではありますが、私は長い間母の母乳で育ったものと信じておりましたが、脳の発達具合を考えるともしや・・・、と感じるところがあるこの項です。

本日はこのあたりで。

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