食糧自給率39% (カロリーベース) のわが国は、残りの61%を輸入し
いることになりますが、2006 年度の日本の食糧品輸入相手国はというと、
第一位 米国 22.3%
第二位 中国 18.4%
第三位 豪州 9.3%
第四位 タイ 5.6%
第五位 カナダ 4.6%
が上位5位のシェアーを示す数字です。
食糧自給率39%= 海外依存率61%の日本は、今やその大半を米国と中国に頼っていることが解ります。
冷凍餃子事件で問題となっている中国からの輸入品で、金額的に多いも
のは、「鶏肉調整品」「冷凍野菜」「うなぎ調整品」「生鮮野菜」と続きますが、
数量的に見てみると、「冷凍野菜」32万トン、「生鮮野菜」54万トンと大量に輸入されていることがわかります。
日本国内でのお弁当のお総菜や、一部飲食店等での食材として多く使わ
れているわけですが、今や日本の「野菜基地」としての中国の存在の大きさは、早い話、中国がヘソを曲げると日本は大変困った状況になるとい
うことであります。さて、ここまで話は余談として、今回は、大量に輸入さ
れるこれらの食品の安全性についてのお話をして参りたいと思います。
日本では収穫前の栽培過程で使われるプレ(前) ハーベスト農薬が主流ですが、米国などの大国の場合は、収穫された農産物の長期保存、大量貯蔵、長距離かつ長時間輸送が必要となってくることに伴い、腐敗やカ
ビの防止、害虫駆除などのためにも農薬使用が認められています。
これがポスト( 後) ハーヴェスト( 収穫) 農薬です。「クロルプロファム」と
いう日本では除草剤として使われている農薬がありますが、これを米国で
はジャガイモから芽がでないよう、発芽抑制剤としてポストハーヴェスト処理
され、船便で日本に輸入されます。それはほとんどがフライドポテトなどの食品に加工されますが、冷凍されたフライドポテトから「クロルプロファム」
の検出も報告されているのです。
日本の小麦の自給率は、13%で、87%は輸入されているのですが、その大半(53.8%)は米国からの輸入です。小麦には虫食いを防ぐために「マラチオン」という殺虫剤を用います。
これは、神経に影響を与え、催奇形性も指摘される薬物です。小麦はいうまでもなく、パンなどの食品に加工され、学校給食の主流となってきました。
学校給食のパンからもこの「マラチオン」が検出されているのです。また、
米国からの輸入と言えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツは輸入柑
橘類の御三家と呼ばれていますが、ここから基準値を越えて頻繁に検出さ
れるOPP、TBZ、イマザリルは、防カビ剤として塗布されています。
1975 年当時、この防カビ剤御三家は、日本では使用を許されていない農薬でしたが、その後アメリカの強い要請(圧力) を受け、厚生省(当時)
は食品添加物として許可をしたのです。OPPは発ガン性、TBZには催奇形
性、イマザリルには肝臓や腎臓への悪影響が発表されています。
太平洋をそれも赤道の上を船便で輸送してこなければならないことを理由に許可したようですが、国内向け(米国) よりも多量のポストハーヴェスト農薬を使用する傾向にあるようです。このように輸入柑橘類は、殺虫剤や防
カビ剤、それにヘタが残っているほうが新鮮に見えるという理由で、除草
剤までかけた上に、さらにワックスを塗る。そうすることで、薬剤が落ちることも防げるし、見た目もきれいに見えるというわけです。またさらにで恐
縮ですが、外国からの輸入農産物は、病害虫侵入防止のために、「植物
検疫法」に基づいて「臭化メチル」による燻蒸を行っています。コレラ菌などに汚染されている可能性が考えられるために、使われるのですが、この臭化メチルも農薬で、気化しやすいために作物には残留しないという「神話」がまかりとおってきたのですが、有機臭素塩として残留することが実験で
証明されているところです。
今日は会員の皆様には余り関係のない話であったと思いますが、食糧輸入大国の日本は、このようにポストハーヴェスト農薬のリスクが農産物ばかりか、魚介類、ありとあらゆる加工食品に存在していることを知っていただく
ためのはじめの一歩として書かせていただきました。
夏に向かうころ、地球人倶楽部も国産レモンがなくなり、米国の有機レモンをお届けすることになります。年に一度か二度、「レモンにカビが出てい
ますよ」というクレームをいただきます。もちろんお詫びをして、新しいレモンをお届けしなおすわけですが、会員の皆様には申し訳ないのですが、
私たちには嬉しい話でもあります。それは輸入したレモンが防カビ剤を使用していない証明でもあるからです。
中国の問題が起きれば、中国のものは全部ダメ、というような極論から極 論に走ってしまう傾向が最近よく見受けられますが、食べ物の安全ということから考えるならば、輸入、国産の別なく、作物の生い立ち、そして加工時における合成添加物の使用等々すべての問題を、生活者である私たちが、 しっかりと取捨選択していかなければならないと思います。利便性を追求したがゆえに生まれてきた添加物を使用しないということは、安全を手に入れるかわりに少しの不便というリスクも受け入れるということなのかもしれません