エコロジーという言葉の語源は、ギリシア語のオイコス(家)とロギア(考える)の合成語であり、「生活を根底から考える」という意味であると言われています。
エコロジー運動というものが具体的に表面化したのは1970年代の前半。特にドイツを中心としてヨーロッパ全体に急速に広がったといわれています。
ドイツ人がもっとも愛する「黒い森」(ドイツ西南部の山地)が酸性雨による大被害で壊滅状態となったのです。これらの原因は大気汚染といわれました。この 事実に対するドイツの人々の危機感は、いやがうえにも高まり、1983年、市民運動からスタートした緑の党(ザ・グリーン)が、旧西ドイツ連邦議会に27 人の議員を誕生させたことは皆様もご承知のとおりです。
そして、1986年4月26日。旧ソ連 ウクライナ共和国、キエフ市北方にあるチェルノブイリ原子力発電所四号炉で起きた事故は世界各国に放射能を撒き散 らし、牛乳、肉、野菜などが汚染されましたが、このことは中でも陸続きのヨーロッパに大きな衝撃をあたえ、環境問題への危機感をさらに強めることとなりま した。さまざまな現実を目の当たりにし、環境問題はヨーロッパ中にまたたくまに燎原の火のように拡大していったのです。
エコロジー運動の第一の目的は、「自然環境の推持と発展」、「現在の環境汚染を取り除く」ということですが、87年ドイツの環境基本政策をうたった政府表明にあるように「自然は国の宝である」という言葉に尽きると思います。
さて、男性化指標の高い国と低い国、言い換えれば、男性化指標の高い国と女性化指標の高い国という言葉を聞いたことがありますか?この言葉はオランダの経 営学者ギアード・ホーフステッド氏が多国籍企業IBM社の従業員世界40ケ国延べ11万6千人を対象に調査した結果、この指標を見いだし、40ケ国の男性 化指標の度合いを1~l00までの数値に置き換えたものです。
このように、我が日本はダントツ一位の最も男性化指標の高い国であることが数字にも現れています。
一方、最も男性化指標の低い国、言い換えますと女性化指標の高い国がスウェーデンで、続いてフィンランド、デンマーク、ノルウェーと北欧諸国が中心を占め ています。いうまでもなく、これらの国々は、福祉をはじめとする様々な弱者への配慮に優れた国々といわれています。
ここでもうひとつ資料をお見せしましょう。
男性化指標の低い国 | 男性化指標の高い国 |
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・人間中心主義 ・生活の質と環境の重視 ・生活優先 ・奉仕の優先 ・相互依存の重視 ・直観 ・不運な者に対する共鳴 ・平等化:他にぬきんでるな ・小さいこと、ゆっくりしたことは美しい ・男性は自己主張的である必要がなくて、養育的役割を担うことができる。 ・社会における両性の役割こは差異があってはならない。 ・性役割の差は、権力の差異であってほならない ・ユニセックス(両性の無差別)と両性具有を理想とする。 |
・金銭と物質中心主義 ・業績達成と成長の重視 ・仕事優先 ・業績達成の優先 ・独立の重視 ・決断力 ・成功者に対する共鳴 ・卓越化:最高をめざせ ・大きいこと、早く事は美しい ・男性は自己主張的にふるまい、女性は養育的にふるまわねばならない ・社会における再牲の役割こは、明白な差異がなければならない。 ・男性はあらゆる状況において、支配者でなけれはならない。 ・マチスモ(これみよがしの男らしさ)を理想とする。 |
(出所)G.ホ―フステッド著、萬成博・安藤文四郎監訳『経済文化の国際比較』 産業能率大学出版部1984年
男性化社会の特徴は、さまざまな女性論を発表している大橋照江さんの言葉を借りれば、"金銭と物質主義" "業績達成と成長の重視" "仕事優先" "決断力" "成功者に対する共鳴" "大きいことは美しい"といったモーレツ型、滅私奉公型、企業戦士型、過労死型の価値観が強くでています。一方、女性化指標の高い国では、"人間中心主義 " "生活の質と環境の重視" "生活優先" "直観" "不運なものに対する共鳴"といった生活の快適感や充足感、環境、弱者を大事にする価値観が強くでています。 この結果をながめると、日本は男性原理の強 すぎる国という答え(?)がでます。
エコロジーという環境問題についての考え方、価値観は男性化指標の低い国、つまり女性化指標の高い国の方が圧倒的に進んだ考え方をもっているということで す。エコロジーは生活現場を見つめなおし、考え、論じて、改善していくことから初まるのです。女性のもつ生活感覚や自然観、水や空気や食べ物に対する女性 の感性は、男性よりも圧倒的に勝るところです。ヨーロッパにおけるエコロジー運動の主役たちも女性であったことが、このことを証明しています。
日本は、まだまだ男性化社会としての価値観を強く残しているようです。そしてこのことが日本のエコロジーに対する対応の遅れを生んでいるのかもしれません。
私たちが『地球人倶楽部』を発足させたころ、エコロジーという言葉や有機農業、自然を大切に・・・等々の言葉には、何か特別なことをやっている変わった 人、という意味でとられることが多々ありました。欧米諸国では当たり前に論じられているこれらの言葉が、日本ではあまり知られてもいず、受け入れられな かった背景には、これからバブル時代を迎えようとするその時期と男性化社会の価値観があったのでしょうか。
21世紀は日本にとって女性の時代といわれています。男性、女性という性の差を超え、行政や企業にどんどん進出してゆく時代になると。それは"職場の花" としてではなく、一人間として責任ある立場が根づくという時代だと。女性の優れた感性と人間的に成熟した目で、環境をも重視した社会システムを作り出してくれる日が待たれます。
今回は、会員のDさんより「人間として自然に生きることと社会の仕組みのギャップについてどのように考えておられますか?」というお便りのお答えとして書かせていただきました。
私と地球人倶楽部の全スタッフはグリーンカンパニーとして仕事とエコロジーを融合させていきたい...
そう思っているのです。